屈辱の零封負けからの身体改造 パワーアップした粘りの聖光学院野球

18日に開幕する第97回選抜高校野球大会に、聖光学院が3年ぶりに出場する。昨秋の東北大会で頂点に立ったが、明治神宮大会では零封のコールド負けを喫した。選手たちは屈辱をバネに冬期間、身体強化に取り組み、投打ともパワーアップした姿で22日の初戦に臨む。

東北代表として出場した昨秋の明治神宮大会の1回戦、聖光学院は近畿代表の東洋大姫路と対戦。聖光の選手たちをまず驚かせたのが、相手の「体のデカさ」だった。上背はもちろん、腰回りや大腿(だいたい)部の太さに圧倒された。

試合は初回から相手打線の猛攻を受け、先発の大嶋哲平選手(3年)は2回で降板。3番手の管野蓮選手(3年)も流れを変えられず、打線も好投手に2安打に抑えられ、0―10の5回コールド負けを喫した。東北王者のプライドはもろくも崩れ去った。

「あの試合の後、地元に帰ってきても1、2日はショックで動くことができなかった」と大嶋選手。管野選手も「悪い流れを変えようと登板したのに、悔しさだけが残った」と振り返る。

自分たちに足りないものは何だろう――。失意の中、思い至った答えの一つが「パワー」だった。「スイングの圧力が全然違う。もっとパワーをつけてボールを遠くに飛ばさなければと感じた」と竹内啓汰主将(3年)は言う。

聖光学院は、昨春から高校野球で本格的に導入された新基準の低反発バットに対応すべく「センター方向に低くて速い打球を打つ」ことを心がけてきた。単打に犠打や盗塁、四死球をからめて長打が出なくても点を取れる攻撃スタイルを磨いてきた。

敗戦後4日ほど経って選手たちは再スタートを切った。学校の練習グラウンドのスコアボードに「0―10」のスコアを掲げ、遠くにボールを飛ばすロングティーバッティングにうち込んだ。

「身体強化」にも取り組み、夕食で白米やパスタを胃袋に詰め込んだ。ベンチプレスなどのパワーリフティングで筋力強化にも励んだ。

本番が近づき、今は基本の「低くて強い打球を打つ」ことに立ち返っている。昨夏の選手権大会に唯一出場経験がある菊地政善選手(3年)は「バットの芯でボールを捉えた時に遠くまで飛ばせるようになった。センター返しを基本に、リベンジのチャンスを狙う」と闘志を燃やす。

大嶋、管野の左右両エースも、身体強化により球威と変化球のキレを増した。大嶋選手は「狙われても打てない球を投げ、試合をつくる」と意欲を見せる。

聖光学院は春6回、夏19回の通算25回、甲子園に出場。春は2013年のベスト8、夏は22年のベスト4が最高成績だ。

あと1勝で甲子園30勝となる斎藤智也監督は「歴代の中でも『飛ばせる』チームになった。ロースコアの接戦に持ち込み、1点差で勝ちをつかみたい」と話す。

竹内主将は「一球一球に対し執念深くプレーし、聖光学院らしい粘り強い野球をしたい」。目標は変わらず、「日本一」だ。

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